実は日本人も他人事のように見ていられないデマ。
イギリスが5G通信網からファーウェイ製品を排除すると発表があったが、コロナも一緒に排除したいところ。
5Gの電波が新型コロナを感染させるというデマ
2020年4月頃からイギリスで広まった新型コロナウィルスにまつわるデマの1つで5G通信の電波がコロナを広めているというものがある。
当然ながら根も葉もないデマで、電波で物理的にウィルスを送れるならSFに出てくるようなテレポート装置ができてもいいはずだが、もちろんそんなことはあり得ない。電波が人の免疫を抑制して感染を助長しているという主張もあったがやはり根拠がない。
WHOや様々な医療研究機関が感染原因は飛沫感染及び接触感染と発表しており、電波感染といった報告は出てこない。下記の厚生労働省の説明にもないのでご確認を。
このデマの元はロシアではないかという話が上がっているが詳しくはこちらの記事を参照して欲しい。
デマを信じた人々が暴徒と化す
5Gが新型コロナウィルスを広めるというデマを信じた人々がとった行動は以下である。
・携帯通信アンテナを破壊、焼き討ちする(4月初旬に開設したコロナ向け臨時病院に設置された物を含む)
・通信技術に携わるITエンジニアに対し誹謗中傷、襲撃、殺害の脅迫を行う。
・SNSによるデマの拡散(映画俳優、サッカー選手、テレビ関係者を含む)
デマは海を渡り世界へ
イギリスだけのデマかと思いきや、アメリカやコロンビア、ペルーにまで騒動は飛び火していた。
ペルーでは、6月10日頃ペルー中部の農村で8人のブロバイダー業者の技術者が村民に拘束された。5Gのデマを信じた村民が、公共向けインターネット用アンテナのメンテナンスに来た技術者を拘束し、解放されたければ、これまでに設置したアンテナを取り外すよう要求していたという。後ほど解放された。
運輸省の報道官が語るには「ペルーには5Gのアンテナはない」とのこと。
コロンビア東部では、6月15日に5本の電波塔がデマを信じた住民によって焼かれ、壊された。事件前には当該市に塔の撤去を住民が求めていたという。
通信省の声明によると「わが国に5G技術はない」とのこと。
アメリカもまた、ABCニュースは5月頃から散発的に基地局が攻撃されていると報じている。
コロナ感染への恐怖がデマを真実に押し上げる
これらデマを信じて破壊行為に至った国は共通してコロナ感染者数が多い国だ。アメリカ、イギリス、ペルーは感染者数上位にある。新型コロナウィルスという未知のものに対する恐怖は非常に人にとってストレスであり、原因を求めてしまいがちだ。そこに5Gが感染を広めているというデマが流れ込み、人々のストレスのはけ口として収まってしまったのではないか。
日本もかつて電話がコレラ菌を運ぶとデマが流れていた
明治2年に始まった電信だが、あまりの情報速度に当時の人々はキリシタンの魔法であると恐れ、電線の下を通るときには扇を頭の上にかざしていたという。
明治23年には電話が開通したが、当時はコレラが流行っており電話を通して感染するというデマが流れている。
(『流言とデマの社会学』 廣井脩 著)
このように日本もかつて未知の技術が感染症を運ぶのではと恐れ、デマが流れている。ある程度知識があればそんなわけ無いだろうで済む噂も、恐怖と未知が合わされば信じるにたる情報になってしまう。
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